限界を超えて常識外の現象を起こす人は、少数だが確かに存在する。
彼らを分析してみると、起爆剤となる4つのキッカケに大分される。
今回は、「死ぬ気で生きる4つの起爆剤」について述べていくことにする。
1つめは、『大事故』。
大火事や交通事故など、一瞬で生死の境目をさまよう大きな事故は恐ろしい。
やり残したことがあるにも関わらず、死ぬことに気づかないまま肉体が滅ぶ。
しかし、「一旦、死んだ」と語る人は本当に死の世界を垣間見た人が多く、生きていることに深く感謝する念が生まれる。
真の生を体感することで、ダラダラと生きることはなくなり、呼吸することでさえ幸福感を感じるようになるわけだ。
ましてや、腕も足もある五体満足で生きられているならば、神様が与えた奇跡の産物だとも思える境地に達する。
2つめは、『大病』。
がん・心疾患(急性心筋梗塞)・脳血管疾患(脳卒中)など大きな病気を患うと、これまで無限に続くであろう人生が、ただの思い込みという幻想だと気づく。
例えば、不治の病だと知らされたり、余命宣告されたりした場合がそうなるキッカケとなることが多い。
もう以前のように動けなくなる恐怖や、いつ死ぬのか生命の期限を知らされたら誰でも「残りの人生どう過ごすか」を真剣に考えざるを得ない。
つまり、自分の死を悟り、初めて人生を本気で生きる覚悟を持つパターンだと言える。
生を諦めることなく、治療に活路を見出した人は、気力で『がん細胞』を消滅させるケースも少なくない。
そして生還できた人は、講演や本を通して自らの体験を公開している。
3つめは、『極貧』。
現実世界を生きる上で、経済活動は必須である。
「何かと交換できる道具」と捉えられるお金は、ある一定以上は循環させていなければならない。
それ故に、お金がまったくない状態になると、目標まで到達する速度が圧倒的に遅くなる。
それはつまり、肉体の健康を維持することも、心を充実させることも、理想を現実化することも、非常に難しくなってくることを意味する。
物質世界から完全に切り離し、山ごもりする修行者のような生活ができるなら関係ないが、一般人には真似でき難い。
死活問題に関わる資本金が底を尽きることで、それの重要性と有り難みを知る。
質素な食事や浅い睡眠はもちろん、目覚めている最中は無気力感に包まれるため、「生きている意味ある?」と自問する精神状態になっていく。
しかし、精神が崩壊に近づくほど生命が窮地に追い込まれることによって、人生を逆転するための活路を見出せる。
4つめは、『天涯孤独』。
人間は他人がいてこそ、己の存在意義を感じる情的生物である。
人間関係が崩壊することで理解者が皆無になると、天涯孤独の世界に入っていく。
そうなると当然、会話する相手も、感動を共有できる相手もいない。
そのため、精神が弱い人はストレスを蓄積しやすく、忍耐力が低い人は自殺へと向かう。
しかし、『一人ぼっち』という孤独を存分に味わうことによって、内なる自分と深く交流でき、これまでにないオリジナリティ溢れる少数派の人生を歩んでいく。
以上、これら4パターンが極端に大きく振れる人生のシーソーであり、起爆剤的な現象となる。
起爆剤で自爆せずに、活路を見出すことができたならば、自分を改良改革することはもちろん、誰もができない超人的な現象を意図的に起こすことも容易くなる。
しかし、そんな高確率で人生をひっくり返せるギャンブルに、自分の生命を賭けられる人はそういない。バクチ的な要素が強いほど、誰でも腰が引けてしまう。
つまりは、危険性の高い死の境目を体験せずに人生を一変させたいならば、先を読んで自分を自分で追い込む環境と教育を己に課することが必須だというわけだ。
それを教えてくれる師匠的存在がいればいいが、いないならば、何年何十年と歳月をかけて、無理なく時間をかけて少しずつ少しずつ自分を変化させるしかない。
短いか長いか、100年人生。
いつどのタイミングで本気で生きるのかは、己の心が決めている。
起爆剤1と2の現象化は『中』レベルだが、30年で4つすべてを受けた僕は、常に生に感謝して人生自体を自由自在に楽しんでいる。