こんにちは、川名慶彦です。
大理石って不思議な魅力がありますね。
形なき形を観る
5日ほど連日でコツコツ地味に、70キロ以上ある大理石の塊を彫刻してきた。
すると、なんとなく「上手く彫る感覚」がつかめてきた。
「ここが急所か! だからここに打てば一打で大きく削り取れる!」
そういった感覚がつかめるようになってきた。
それと同時に、「寝食忘れるほどただ石に向き合ってノミとハンマーで何時間も打ち続ける」という行為は、万人にはできないだろうと思った。
この行為が無意味に思えるか、つまらなく感じるのが普通だ。
(同じ姿勢でハンマーを振るため、肉体的疲労もかなりある)
果てしない遠い道を、カメより遅く、1ミリずつ進む感覚。
彫刻という芸術は、そのような世界だった。
具現化系の能力開発
そして、完成形という形を想像し、それに向かってひたすらマイペースで数ミリずつ彫っていく様は、「形なき形を観る」ことであり、美意識を磨くことでもある。
彫刻の巨匠・ミケランジェロがいう「完成形が見えているから、余分な部分を取る(彫って削る)だけ」という表現は、独自の世界に入った者だけが体験する超越した行為だからこそだと思える。
平たく言うと、「自分のイメージを完璧に立体化&具現化できる」ということだ。
芸術家とは一体、何者なのか
芸術家という人物は知名度関係なしに、「無形を有形に変えられる」という稀な能力を持っているといえる。
小さな子どもが思い描く夢のような空想を、現実にやってしまう行為が、アートそのものになる。
それに没頭できる真の芸術家とは、「子どもと大人の狭間で遊ぶ、道化師(ピエロ)」のような存在ではなかろうか。
まとめ
「無形物からインプットし、有形物としてアウトプットする」
これが己の能力の活かし方なのだと、理解できてきた。