「アーティストの定義を教えてください」
そう言われることは少なくない。
『アーティスト』という世間一般では少数派で稀有な職業に
足を踏み入れた僕にとって、この定義はシビアに考えている。
むしろ、シビアに考えて行動しなければ、
とっくに死んでいるからである。
なので今回は、僕が考えるアーティスト像を述べることにする。
●アーティストの定義
アーティストとは言わば、『創造者』のことだ。
無から有を生む創造者であるか、有から多で増やす創造者である。
主に、ミュージシャンやダンサー、クリエイターなどの職業も
『アーティスト』だと言えるが、『アーティストの卵』、すなわち、
プロフェッショナルかアマチュアかの境目は確かにある。
それは
< アーティスト活動(創造活動)によって
生きているか否か >
一言でいえば、この一文に集約される。
つまり、真の『アーティスト』とは、アーティスト活動のみで
メシを食う子どものような大人であると考える。
●アマチュアはアマチュアで終わる理由
アマチュアはメシを食うために別の仕事をするが、
プロフェッショナルは『好き』を仕事にしている。
現実世界を生きるために現実的な仕事(ライスワーク)をして、
残りの時間をライフワークにあてるのが、アマチュア。
好きなことを仕事にして、生きることそのものから学び、
ライフワークのみで人生を楽しむのが、プロフェッショナル。
これらの違いを深く換言するなら、
本気でプロフェッショナルとして生きていくか否かの
『覚悟』が定まっているかどうか、である。
それは画家、漫画家、作家などの職業も同様だ。
多くの画家は、自分が最高傑作だと思える絵さえも売れず、
『売れない画家』というレッテルを貼られ、生涯を終える。
多くの漫画家は、最高の漫画だと思える原稿ができても
編集者から爪弾きをくらい、芽が出ずに生涯を終える。
多くの作家は、数百ページもの原稿を書き上げたとしても
本屋に平積みされることなく、日の目を見ずに生涯を終える。
それが現実だ。
< 人生を『背水の陣』で生きているかどうか >
その強い意志を持っていれば、不可能を可能に変えられる
パーセンテージが確実に上がっていく。
でも、意志を持っていれば必ず成功するとは言い切れない。
実力があれば全員、成功するとは限らない世界だからだ。
『アーティスト』、つまり創造活動を仕事として
成功するためには、『運』も密接に関係する。
その『運』さえも自らつかみ取ろうとするか、つかんでそれを活かせるか。
そこまで現実に落とし込まなければ、
最速で理想を現実化させることは不可能だ。
『アーティストの卵』は孵化することなく、殻の中で死んでいく。
それがゴマンといる過酷な世界である。
しかし、なぜ多くのアーティストの卵が生まれるのだろうか。
それは見たことがない、本当の素晴らしい景色を見たいから。
飛び立たないと見えない最高の世界が、確かに存在するからだ。
だからこそ、少数の卵だけが自力で孵化する。
本気の覚悟を持って自分の殻を破り、サバイバルな
世界に自ら足を踏み入れられたヒナ鳥こそが、
真の『アーティスト』として自由に羽ばたけるのである。
そして、素晴らしい景色を自由に旋回できる鳥たちだけが
住む新たな世界で生きることができるのだ。
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