「こういう自分になりたい……」

意識的に、または無意識的に、理想像を思い描きながら人は、毎日を過ごしている。

 

本当にやりたい仕事と、仕方なくやっている仕事。

好きな仕事と、嫌いな仕事。

かなえたい夢、夢になかなか近づけない現実。

 

いろんなシーンを僕らは、頭の中でシミュレーションしている。

 

しかし、現実はそう簡単に変わるものではない。

 

理想なんて、バカげている。

夢なんて、絶対かなわない。

成功できるのは、ほんのひとにぎりの人だけ。

 

そう言う人の、言葉を信じ込んではいけない。

否定的要素を脳に刷り込めば刷り込むほど、理想と現実のギャップは広がっていく。

 

「思考は現実化する」という名言は真理である。

しかし、思考した人全員が全員、体現できるほど、この世は甘くはないのである。

 

そこで、覚悟の深さが問われる。

 

「まぁ別にいいか」

「あとでやればいいや」

「どうせ自分には無理だし」

そういった思いが少しでもあるならば、空気として人に伝わるものだ。

心を見抜く人と対峙したならば、それは確実に見抜かれる。

 

真に根底から進化して人生をプラスに変えるためには、表層意識を潜在意識まで落とし込まなければならない。

そう言葉で言われて頭で理解しても、それを体現するのは容易ではない。

もし、簡単にできるようになるくらいならば、誰もが成功者になっている。

地球上に悩みという種がなくなっているはずである。

 

ようは、そこに生まれるギャップをどう詰められるかだ。

 

 

特殊なライフスタイルがゆえに、実に千差万別、星の数ほど出会ってきた。

そして、10~80代の男女と真正面から心の目で対峙してみて、こう思う。

 

「進化には、期限があるな」と。

 

人は年を重ねるごとに、概念が定まってくる。

固定化されることで、新しい概念を入れる余地がなくなってくる。

それが進化の妨げになっている場合が、大いにあるのだ。

 

例えば、毎朝、トーストとミルクを食べることを40年続けて習慣化された人に健康論を伝えても、「今更変えられない」という反応を示す。

または、サラリーマンを20年続けてきた人に、起業論を伝えても、「リスクが大きくて怖い」という反応を示す。

つまりは、限界ラインを自分で即決してしまう自分が、完成されているわけである。

 

本音をいうと、進化の期限は、実年齢(肉体年齢)35才前後までだと、ひしひしと感じている。

それ以降になると、劇的な進化は見込めなくなる。

しかし、人によっては、不可能でない。

 

進化の分岐点は、「素直さがあるかどうか」。

これに集約される。

 

実際に、35才以上で劇的な進化を成した人は、自分より年下の人物が啓蒙した教えであっても、それを愚直に実践している。

ただ実践すればレベルアップできるものの、それを素直に飲み込めない人も多いのだ。

それは、非常にもったいない。

 

素直さがある人は実践を繰り返し、確実に人間的に成長していく。

実践していない人と比べれば、間違いなく経験値が上がる。

経験値が上がると、出会う人や現象が変わってくる。

そうなると、価値観が変わった自分に出会い、人生のステージが上がっていることに気づくだろう。

 

人生という山脈は、上に登れば登るほど人数は少なくなる。

しかしそこには、経験を重ねた、レベルの高い人だけがいる。

 

それは、進化して自ら登らないと、真に理解はできない。

でも確実にその領域は存在していて、そこから眺める景色や感情は圧倒的なものである。

 

それは、酸素の薄い雪山を登り切った時に感じる、幸福感に似ている。

 

すべてを包み込む。

真に満たされるということ。

 

人生の山を登るべく進化するか否か、それは、己の覚悟の深さに直結しているのである。

どうせ登るならば、山頂で青い空を仰ぎながら、寝転がりたいものだ。

 

*追記

ここでいう進化の意味は「精神的な進化」を指している。

「成長」とは年齢関係なく可能だが、精神的に飛躍することには年齢制限があるため、「進化の期限」としているのだ。

研究者が書く学術的論文と比べれば通用しない文章だと思うが、僕はあくまで本屋に並ぶ一般書籍の作家・著者というレベルなので、「いかに読み手の心に残るか」を意識して文章化している。

また、期限内に一度でも進化することができれば、肉体が消滅するまで進化することが可能になる。

 

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